50歳ごろになると、両親がすでに亡くなっていたり、介護が必要になるケースが多くなってきます。
いまや日本は長寿大国となり、平均寿命は女性が87歳、男性が81歳となりましたが、
一方で健康寿命は女性が74歳、男性が71歳です。(2018年)
健康寿命は、健康上問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間をいいます。
つまり、約10年近くは何かしらの医療や介護に頼る期間が考えられます。
2015年では認知症患者の割合が約7人に1人ですが、
厚生労働省によると2025年には5人に1人の割合になることが予想されています。
健康寿命を延ばすことで生活の質の低下を防ぐことができ、
さらに介護や認知症になる可能性を低くすることができるでしょう。
また両親が元気なうちに、お葬式の出し方や遺産の分割などについて、
亡くなった後の話をするのは気が進まない面もあるでしょう。しかし、早めに考え方を聞き、
方針を固めておくことで、後々余計な問題が生じることを防いでくれます。
相続に関して、取り分をめぐる親族間のトラブルは、小説やドラマの中だけの話ではなく
実際に起こり得てしまうものです。財産は“自宅”など、分けにくいものが多いのです。
あらかじめ、準備をしておくことで亡くなった後の
「骨肉の争い」の嫌な思いをしなくて済むかもしれません。
とくにお子さんがいらっしゃらないご夫婦の場合は、注意が必要です。
この場合、相続人は配偶者と故人の両親、または兄弟姉妹となり、
たとえ自宅しか財産がなくとも財産を分けなければならないと法律で決まっています。
こんなときには、遺言書で配偶者に財産を相続させる旨書いておくと、
兄弟姉妹は財産を受け取ることはできません。
まとまった額を相続する場合、気がかりなのが相続税ですが、
これはたいていの方は心配しなくても、控除枠の中に納まるケースが多いです。
生命文化センターの調査によれば2017年の死亡者数約134万人に対し、
相続税の課税があったのは約11万人で、割合でいえば約8%でした。
100人の死亡者の家族のうち8家族しか相続税を払っていないのです。
なぜなら、相続税の基礎控除額は3000万円+600万円×法定相続人の数という控除額があります。
例えば法定相続人が妻1人と子2人とすると、
3000万円+600万円×3人で4800万円が控除額です。
なお、相続税が心配な方は終身保険に加入し、死亡保険金として受け取ると
500万円×法定相続人の数が非課税となります。
この場合は死亡する人が契約者・被保険者として契約していることが大切です。
個人的には億円単位の財産でなければ亡くなった後の相続税を心配するよりも、
ご自身が使えるお金を取っておくほうがよいと考えています。
確かに税金を負担するのは嫌なものです。
しかし、何千万円というお金を相続したのであれば、多少の税金がかかることは
仕方がないと割り切ることも大切です。
夫婦2人が年金で生活をしており、夫が亡くなった場合、妻はいくらの遺族年金を受け取れるでしょうか。
例えば夫は老齢厚生年金12万円と老齢基礎年金6万5000円の、合わせて18万5000円。
妻が国民年金のみ加入していたので6万5000円とすると、2人で毎月25万円となります。
夫が亡くなった場合、夫の老齢基礎年金からは1円も受け取れませんが、
夫の老齢厚生年金からは、75%分を妻が受け取ることができます。
遺族厚生年金は12万円×75%で9万円となり、妻の老齢基礎年金と合わせると、
合計で15万5000円。つまり、2人で生活する場合と比べて10万円のダウンとなります。※参考資料:表①
2人から1人になっても生活費が2/1にならないことが多いので、もし1人になったら
年金はいくらになるか、あらかじめ確認して対策を立てておいたほうが良いでしょう。
また、妻が厚生年金に加入していた場合はどうなるのでしょう。
例えば妻の老齢厚生年金が4万円だとすると、
妻の老齢厚生年金分の4万円は受け取れますが、4万円分の遺族厚生年金は減額されます。※参考資料:表②
このように、合計額は15万5000円と変わらないことになります。
また、妻のほうが夫より老齢厚生年金が多かった場合、
夫が先に亡くなっても妻に遺族厚生年金は支払われません。
通常、贈与税は年間110万円を超える贈与があったときに課税されますが、直系尊属からの贈与の
一部を非課税とする制度が存在します。
例えば教育資金贈与制度は、30歳未満の子や孫に教育資金を一括で贈与した場合、
最大1,500万円が非課税になるというものです。
ただし、塾や習い事などの学校以外に支払う教育費に関しては
最大500万円までに制約が設けられます。
とはいっても、大きな金額を一度に贈与するよりも、
その都度、お金を渡してあげるほうが子どもや孫に喜んでもらえること請け合いです。
他にも、住宅取得など資金贈与は、親が子や孫のために住宅や土地を取得するための
資金(リフォームも含む)を贈与したとき、最大1,500万円が非課税になります。
相続税がかかるような方であれば、制度の中身を知っておいて損はありません。