普段、金利を意識していなくても、金利は私たちの生活に影響を与えています。
例えば2016年に導入されたマイナス金利政策。
通常は、お金を借りる人が金利を支払いますが、
マイナス金利では、反対にお金を貸す人が金利を払うようになります。
でもご安心ください。このマイナス金利政策はあくまで、日銀と金融機関の間でのことであり、
私たちの預金金利がマイナスになる事はありません。
それでも、この金利政策の導入によって金融機関の収益が減り、合併が行われたり、
保険や金融商品のリスクを説明しないで売りつけたりなどの悪影響もありました。
その他にも、金利は私たちの生活にも多くの影響を与えています。
例えば
- ・定期預金の金利がほぼゼロ
- ・住宅ローンや自動車ローンなどの金利が下がっている ⇒ 借りすぎにつながる
- ・ローンの借り換えを検討する人が増えた
固定金利に借り換えする分には有利だが、金利は上がらないと思い込んで、変動金利に
借り換える人が多い。目先の返済額の安さだけに惹かれ、将来の金利が上昇する
リスクが見えていない。
- ・預貯金よりもリスクの高い投資が増えた
現在、金融機関がリスクを説明せずに販売する外貨建て保険が社会問題になっています。
確かに、日本の金利より外国の金利のほうが高いのは事実ですが、
為替の影響によって元本割れするリスクを理解しなければなりません。
- ・金融機関は資金を貸出しや投資に回すことができず、保険や投資信託の販売を行って
副業で稼いでいる - ・金融機関でサービスの縮小や手数料の引き上げがみられる
- ・預金通帳が廃止されたり、ATMの数が少なくなっている
- ・未利用の預金に手数料がかかるようになった
などです。
金利の計算方法には「単利」と「複利」があります。
単利は、運用する元本のみに金利が付くもの。
複利は、元本と毎年発生する利息の合計額に対して金利が付くものです。
例えば金利が2%の場合でご説明しましょう。
元本が10万円だと、利子は2,000円。この商品を5年運用したとすると、
単利の場合は5年後に利子が10,000円となりますが、
複利の場合は5年後に利子は10,408円となります。※参考資料:表①
長い運用を行う場合は、複利のほうが利子が多くなります。
なお、利子には税金が20%かかります。
元本は変わらず、毎年付く利子も一定
元本に毎年利子が加算されていくため
毎年付く利子も上がる
住宅ローンの金利には大きく分けて2つ、
「変動金利」と「固定金利」があります。
変動金利にはさらに、固定期間選択型と、変動金利型とに分かれますが、
まずは大きく変動金利と固定金利の特徴を説明します。
変動金利は、ローンの返済の途中で金利が見直されるものをいいます。
やっかいなことは、金利が経済状況などによって半年ごとに見直されるのに対して、
5年間は金利の上下にかかわらず返済額は一律となっています。※参考資料:表②
変動金利で住宅ローンを組んでいる人は、金利が上がっても
気が付かないことがほとんどです。
例えば、返済額が10万円で変わらないということは、元本の返済が減って、
利息の返済が増えるという意味です。
もし金利が上昇すると、35年支払っても元本を返せない可能性が出てきます。
金利の上下に応じ、元本と利息の金額を変化させることで5年間は返済額が一律になる。
メリットは
- ・将来金利が下った場合は得をすること
- ・一般的に固定金利よりも金利が低めに設定されていること
です。
デメリットとしては、
- ・将来金利が上昇した場合は、利息の負担が重くなること
- ・金利が上がった場合、5年後に増加する返済額の上限は1.25倍より高く
ならないが、利息の割合が多くなると長期間返済に苦しむこと
です。
変動金利の金利上昇リスクは、ローンを組んでいる人が負っています。
固定金利の返済額は一定に設定されています。
変動金利より金利は高めに設定されていますが、
返済額が一定になるため将来の収支計画が立てやすく、
将来的に金利が上がった場合には得をします。
逆に、将来的に金利が下がった場合には、その金利は反映されないため、
変動金利より返済額が多くなる場合があります。※参考資料:表③
固定金利の金利上昇リスクは、金融機関が負っています。
どちらの金利を選ぶにしても、メリットとデメリットがありますので、
借りる人の返済能力や、そして繰り上げ返済を見越した貯蓄、
さらに将来の金利の見通しなどによって選択をすることが望ましいものになります。
金利低下の影響を受けて、住宅ローンの借り換えを検討する方が多くなりました。
1%の違いでも、ローンの期間が長くなればなるほど返済額に差が出ますので、
住宅ローンの借り換えを検討することは良いことです。
ただし、ローンの借り換えをするにあたって、借り換え手数料や保証料などのコストなどが発生する
場合がありますので、それらも総合的に判断することが大切です。
まだ返済額が大きく、返済期間も長い方で、借り換えにかかるコストよりも、
金利の軽減が大きい場合は、借り換えをしたほうが利息の負担が少なくなり、お得になります。
住宅ローンを組む場合は、
是非、買いたい物件を決める前にご相談にいらしてください。
なぜなら、家の値段が決まっている場合、住宅ローンの種類や金融機関を選ぶことしかできないからです。
物件価格のほかに諸費用や引っ越し代などもかかります。
さらに固定資産税などの税金やマンションの場合には管理や修繕積立金が毎月かかります。
とくに金利の低い現在は、利息も低いために多めの金額を借りてしまいがちです。
共働き夫婦が2人の収入を合わせて住宅ローンを組むと、
将来夫婦のどちらか1人が仕事を辞めた場合、返済が苦しくなってしまう可能性が高くなります。
子どもが生まれたら、正社員をやめて専業主婦やパート勤務になるかもしれませんし、
子供は双子かもしれません。そうなると、教育費は2倍必要になります。
職場のボーナスがカットされるかもしれません。
35年という長い人生の間にはいろいろなことが起きます。
様々な可能性を踏まえ、住宅ローンの種類や金融機関だけでなく、
お客様に合った住宅ローンの組み方や、物件価格などをシミュレーションさせていただければと思います。
また、変動金利タイプの住宅ローンを組んだ場合には、
金利が上がると返済額も上がっていきます。
4,000万円を金利0.5%で借りた場合の返済額は10.4 万円です。
4年後の残高は約3,600万円です。このとき2%の金利が適用されると、
返済額は12万円になります。
「日本は少子高齢化だし、景気がよくなったり、金利が上がったりすることはないだろう」
と考えるかもしれません。しかし、現在は日本銀行が無理に金利を低く抑え込んでいます。
自然の状態でこんなに低いのではないのです。
世界的に景気が悪く、ヨーロッパ、アメリカでも中央銀行が金利を低くしていました。
現在ではヨーロッパもアメリカも金利を低く押さえつけることをやめています。
いずれ日本も金利を低くすることから、脱皮しなければなりません。
そうなると、金利は自然に上がります。
変動金利で住宅ローンを組む場合には、金利上昇に備えて
その分を貯めておく必要があります。
金利が上昇した場合に、繰り上げ返済を行うことで返済額を低くすることが可能です。
住宅ローンの返済が苦しくなると、夫婦仲が悪くなった夫婦もいらっしゃいます。
無理のない返済計画を一緒に立てましょう。